三重コグニ会で「車体整備業界のAI活用 初級編」を講演 — まず明日の仕事を楽にする現場目線のAI入門
# 三重コグニ会 通常総会で「車体整備業界のAI活用 初級編」を講演しました — まず明日の仕事を楽にする、現場目線のAI入門
2026年度(第30回)三重コグニ会 通常総会にお招きいただき、AVARTH代表の間嶋が「車体整備業界のAI活用 初級編」と題して講演をさせていただきました。
副題は「便利ツールで終わらせず、会社のエンジンにする第一歩」。AIを単なる流行や便利グッズとして消費するのではなく、車体整備業界という現場で本気で活かしていくための入口を、現場の言葉でお話する場として設計した内容です。

## 講演で大事にした視点 — 「まず明日の仕事を1つ楽にする」
講演の冒頭で、参加者の皆様にお伝えしたのはこの一行でした。
「今日は、明日から1つ使えるを持ち帰る日です。AIの専門用語を覚える日ではありません。」
AIに関するセミナーや解説は世の中にたくさんあります。でも、そのほとんどが「AIとは何か」「ChatGPTの仕組み」など、技術や概念の話に終始してしまい、聞き終わった後に「で、明日の仕事の何が変わるんだろう?」という問いだけが残ってしまう——そんな声を、業界の方々からたくさん伺ってきました。
だから今回は、技術論ではなく、「明日の現場で、ひとつ楽になる」ことを軸に内容を組み立てました。専門用語をできるだけ使わず、車体整備の仕事の中で実際に起こる場面に置き換えて、AIをどう活かせるかをお伝えしました。
[写真:講演中のスライド or 会場の様子]

## 講演の構成 — 入口・共感・転換・実践・安全運転・覚醒
全体は、大きく7つのパートで構成しました。
入口では、今日の目的と話し手の立ち位置をお伝えしました。「私たちはAIベンダーではなく、現場の課題を知る同業者として、AIをどう活かせるかを一緒に考える立場です」——これは講演を通して一貫して立っていたスタンスです。
共感のパートでは、車体整備業界が抱える共通の課題を整理しました。人材が足りない、現場が高齢化している、若手が育つ前に辞めていく、事務作業ばかり増えていく、動いている割に利益が残らない、技術の高度化に追いつくのが大変。これらは一社の問題ではなく、業界全体の構造的な課題だからこそ、「頑張れ」だけでは解決しないことを共有しました。
転換のパートでは、AIの位置付けを切り替える話をしました。AIは人の代わりではなく、人を支えるもの。たとえるなら「超優秀な新入社員」。能力は高いけれど、会社の常識も現場の判断基準もまだ知らない存在だから、こちらが指示と管理をする必要がある——そういう関係です。
そして、まず覚えるのは3つだけ、というお話をしました。書く、整理する、相談する。この3つさえ押さえれば、入口としては十分です。
## 「書く」「整理する」「相談する」 — AIの3つの基本的な使い方
実践のパートでは、この3つの使い方について、車体整備業界の現場に即した事例で解説しました。
「書く」は、お客様への返信、見積もり後のフォロー文、求人広告、SNS投稿、社内連絡など、日常的に書いている文章を、AIに下書きから作ってもらう使い方です。ゼロから書く時間が、ぐっと減ります。
「整理する」は、会議メモを議事録にする、長い文章を要点だけにする、決定事項とToDoに分ける、専門用語をお客様に伝わる言葉に翻訳する——こうした「情報を使える形に変える」使い方です。
「相談する」は、求人が来ない理由を整理する、利益が残らない原因を深掘りする、クレーム対応の落としどころを並べる、新サービスの切り口を10個出す、業務改善アイデアをゼロから考える——AIを「24時間いつでも壁打ちできる相手」として使う方法です。
## プロンプトの3つの型 — 役割・やること・出し方

AIに上手に頼むコツとして、講演でお伝えしたのが「プロンプト3つの型」です。
AIへの指示は、次の3つに分解できます。
役割。誰として考えてほしいか。「あなたは整備工場の受付です」「あなたは板金工場の見積担当です」「あなたは中小整備工場の人事コンサルです」。
やること。何をしてほしいか。「LINE返信文を作って」「原因を5つ整理して」「論点リストにして」。
出し方。どんな形で出してほしいか。「短めに、丁寧な口調で」「表形式で5項目ずつ」「専門用語を使わず、お客様向けの言葉で」。
この3つを揃えるだけで、AIの返してくる答えは別物になります。「ぼんやり頼めば、ぼんやり返る。具体的に頼めば、具体的に返る」——これは、AIの性能の話ではなく、こちらの伝え方の差です。
## 車体整備業界に即した実演 — 事故対応・折衝・教育まで
講演では、業界の実務で実際に使える事例を、複数お見せしました。
たとえば事故修理のお問い合わせ返信。お客様から「昨日、追突されました。相手の保険で直せると聞いたんですが、どうすればいいですか?」というLINEが来た場面で、「あなたは板金工場の受付です。事故対応の流れを丁寧に案内し、金額は断定せず、必要な情報を聞き返すLINE返信文を作って」と指示するだけで、事故対応の正しい初動が織り込まれた、経験5年以上の受付しか書けないような返信文が出てきます。
たとえばアジャスター折衝の準備。打ち合わせ後の雑メモをAIに渡し、「次回打ち合わせ用の論点リストに整理して。争点・準備事項・進め方の3つで」と頼めば、次の交渉に向けて何を準備すべきかが、見える形で並びます。
たとえば見積書の言い換え。「リアクォーターパネル板金修正、隣接パネルボカシ塗装、フレーム引き直し含む」という見積書の文言を、「車体後方の凹み修理と、色合わせのための周辺塗装、骨格部分のゆがみ修正が含まれます」と、お客様に伝わる言葉に変える。これだけで、「何を直すのか分からない」というお客様クレームの原因を、一つ減らせます。
これら以外にも、写真からのお客様向け説明文の作成、若手向けの作業指示書づくりなど、現場で「あぁ、これ確かに使えそうだ」と感じていただける場面を、複数ご覧いただきました。
## AIを安全に使うための「守り」の話
AIを使い始めるときに、避けて通れないのがリスクと安全運用の話です。講演では「ガードレールがあるから、安心して踏み込める」という考え方で、4つのリスクと社内ルール5項目をお伝えしました。
4つのリスクは、著作権・もっともらしい嘘(ハルシネーション)・情報漏洩・AI依存と思考停止。特に車体整備業界では、ヒューズ位置や配線図、トルク値のような「正解がある情報」を聞いたときに、AIが自信満々に間違える場面が出てきます。そういう情報は、必ず正規の整備マニュアルで照合してから使う——これが鉄則です。
社内で決めるべき5つのルールは、入れる情報、使う場面、最終確認者、会社の言葉への直し、記録と共有。空欄を埋めるだけで自社のAIルールになる雛形を、講演ではお持ち帰りいただける形でご用意しました。
そして、絶対にAIに入れてはいけない情報は、3つのカテゴリで覚えておく。「お客様のこと(氏名・住所・ナンバー・車検証・事故内容・修理写真)」「お金と契約のこと(保険会社との交渉内容・契約・見積・金額)」「仲間のこと(社員の個人情報・人事評価・社内の人間関係)」。画像・PDF・写真も同じです。
迷ったときの一手は、「固有名詞を消してから聞く」。これだけでも、リスクは大きく下げられます。
## AIを「便利ツール」で終わらせない
講演の後半でお話したのは、AIを単に「便利ツール」として使うか、それとも「会社のエンジン」として組み込むか、という問いです。
文章作成や資料作りに少し使うだけなら、AIはカーナビ程度の存在です。あれば便利、なくても困らない。でも、会社のエンジンに組み込んだとき、初めて景色が変わります。
判断の質、判断の速さ、試行回数、学習の蓄積。会社の進化速度は、この4つの掛け算で決まります。どれか1つだけ伸ばしても、掛け算なので効きません。4つすべてを底上げできる道具——それがAIです。
ここから先の「AIを会社のエンジンにする」具体的なロードマップは、今回の初級編では入口だけお伝えして、ビジョンの提示にとどめました。本格的な組み込みの話は、次回以降の研修や個別のご相談の中でお届けしたい内容です。
## 参加者の皆様からいただいたお声
講演後、多くの方からこんなお声をかけていただきました。
「すごく分かりやすかった」
「AIへの見方が変わった」
「自分の会社での活用イメージが広がった」
「今後もっと学びを深めていきたい」
「初級編だけで終わらせず、今後も数回に分けて学びを深めたい」
ありがたい言葉ばかりで、本当に嬉しく感じています。「次の機会があれば」と言っていただけることが、何よりの励みです。
## 講演・研修のご相談、増えています
ここ最近、各種組合様・団体様・企業様からのご相談や講演依頼が増えてきました。
「AIに興味はあるけれど、何から始めればいいか分からない」
「現場業務に落とし込める話を聞きたい」
「実際の活用事例を知りたい」
こうしたご相談をいただくたびに、業界の中でAIへの関心が確実に高まっていることを実感しています。
組合様・団体様・企業様の規模、参加対象、お時間、目指したいゴールに応じて、内容をカスタマイズしてご相談に乗らせていただきます。初級編から、中級・経営者向け・現場リーダー向けまで、ご希望に応じて構成します。
ご検討中の組合様・団体様・企業様がいらっしゃいましたら、[AVARTH GROUP公式サイトの問い合わせフォーム](https://avarth-gr.com/contact/)、または058-215-0440までお気軽にご連絡ください。
## 三重コグニ会の皆様へ
今回お声がけいただいた三重コグニ会の皆様、本当にありがとうございました。
第30回という節目の通常総会の場で、こうした機会をいただけたことに、改めて感謝申し上げます。今回お話した「初級編」を起点に、次の機会では一歩踏み込んだ内容をお届けできるよう、引き続き準備してまいります。
## AVARTH GROUPとして
AVARTH GROUPは、整備事業を起点に6つの事業領域(AVARTH Works / Factory / AI Solutions / Consulting / Supply / Community)を展開しています。
今回の講演は、その中の AVARTH Community(教育・交流:勉強会・ノウハウ共有・事例発信)に位置付けられる活動です。
「現場から、アフター産業の未来を作る」を理念とするAVARTH GROUPにとって、現場の方に直接お話できる講演・研修の場は、何よりも大切な活動のひとつです。これからも、お声がけいただける限り、各地に足を運んでお話していきます。
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AVARTH GROUPは「現場から、アフター産業の未来を作る」を理念に、整備事業を起点として6つの事業領域を展開する自動車アフターマーケット領域の企業グループです。
本社:岐阜県羽島郡岐南町平島8-10-2
代表取締役:間嶋 真正
電話:058-215-0440
公式サイト:[avarth-gr.com](https://avarth-gr.com/)
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